護摩祈祷
護摩壇に火を点じ、諸尊に供養する修法。
供物を祭壇の炉中に投げると、火天アグニの手により炎となって天に昇り、天の諸神の口に達し、諸神はそれにこたえて人間の願望をかなえてくれるとの信仰に基づく。
この儀式を密教が摂取し、災いを除き福を招くという世間的願望に加えて、その奥にあるより高度な精神の解脱を成就しうるように組織したものが、現在、密教寺院で修されている護摩である。
火中に供物を投じ、護摩木を投じて祈願する外護摩の祈祷方法と
自分自身を壇にみたて、仏の智慧の火で自分の心の中にある煩悩や業に火をつけ焼き払う内護摩とがある。
個別の目的によって一般的には次の五種に分類される。
息災法(そくさいほう)
…災害のないことを祈るもので、旱魃、強風、洪水、地震、火事をはじめ、個人的な苦難、煩悩も対象。
増益法(そうやくほう)
…単に災害を除くだけではなく、積極的に幸福を倍増させる。福徳繁栄を目的とする修法。長寿延命、縁結びもその対象。
調伏法(ちょうぶくほう)
…怨敵、魔障を除去する修法。悪行をおさえることが目的であるから、他の修法よりすぐれた阿闍梨がこれを行う。
敬愛法(けいあいほう)
…調伏とは逆に、他を敬い愛する平和円満を祈る法。
鉤召法(こうちょうほう)
…諸尊・善神・自分の愛する者を召し集めるための修法。
0コメント